山鹿市民医療センターからのお知らせ
2025年10月28日
「第29回熊本県国保地域医療学会が10月25日グランメッセで開催されました」
10月25日に別府 透 事業管理者が学会長を務める第29回熊本県国保地域医療学会がグランメッセ熊本 コンベンションホールにて開催されました。
本会は地域包括医療・ケアを充実、強化するために多職種が連携して様々な知見と工夫を報告し共有することを目的としています。今回は“「地域で治し支える医療」の実現に向けて”をテーマとし、県内多数の施設から35の演題が寄せられ、6つのセッションで発表されました。
病院、施設、役場等から多職種の関係者が参集し、早朝から会場はほぼ満席となりました。別府学会長の開会挨拶に引き続き、前回学会の優秀演題表彰式が行われ、当院の井上 放射線技師の発表が優秀演題として表彰されています。
午前の研究発表の「職員の資質向上」に関するセッションで、当院の宮本 看護師が身体抑制カンファレンスの成果について、また福島 放射線科技師からは造影検査におけるタスクシフトについて発表されました。各々の演題について参加者は熱心に聴講し、会場や座長からの質疑応答が行われました。午後の部の「地域を支える取り組み」セッションでは当院の渡邉 理学療法士から出前講座などによる地域貢献の現況と成果を発表されました。次いで看護に関するセッションでは当院の松本 看護部長が座長を務め、その中で当院2階病棟 伊藤師長からの業務改善とコスト削減を目指した「おむつセット化」に関する発表は、他施設の院長からも高い評価コメントをいただきました。最後のセッションである「多職種連携」については当院薬剤科の宮村薬剤師が、眼科入院での新たな薬剤管理指導体制の構築課程について報告しました。
また、当院に関連するものとして、城北高等学校看護科教諭から当院看護部と協力した地元中学生の看護職への関心を高める取り組みについて発表されました。当院看護師による救命指導の様子も紹介され、参加した学生が実際に城北高校に入学し、進路に大きく影響したことが関心を集めました。
一般演題終了後、上天草市立上天草総合病院 脇田 富雄院長による記念講演が行われました。多職種による心リハの先進的な取り組みにより地域患者に大きく貢献した内容が全国学会で高く評価され、第64回全国国保地域医療学会優秀研究表彰にて最優秀賞受賞されています。
引き続き、国立保健医療科学院 福島 靖正 名誉院長から「これからの超高齢社会にどう対応するか」をテーマに特別講演を賜りました。福島氏は厚生労働省の医系技官として永年勤務され、大臣官房厚生科学課長、大臣官房審議官、健康局長等を歴任し、特に新型コロナパンデミック期には国家的感染症対策を指揮されたことでも知られています。熊本県出身で別府学会長とは旧知の間柄ということもあり、医療行政のトップに指導的立場で関わられた方からの講演が実現しました。講演の中で今後の超高齢化社会における膨大なデータが提示され、少子化がもたらす長期的な影響に関する考察が示されると、我が国が抱える課題の重大さに参加者からは大きな反響がありました。医療関係者の減少、現役世代の減少などについては地域による偏りが認められ、都道府県や各地域でその特性に合わせた対応が必要であることにも言及されました。これからの地域医療構想に盛り込まれる内容であり、今後、国保地域医療学会でも検討していくべき大きな課題と思われます。
閉会式では次期学会長となられる髙森 啓史 球磨郡公立多良木病院企業団企業長兼院長が挨拶され、次回学会への参加を呼びかけられました。最後に副学会長の藤原 由紀 熊本県市町村保健師協議会長から閉会の辞が述べられ、第29回学会を終了いたしました。
当院からは参加病院中では最多となる5演題が発表され、その優れた内容が県内でも認識・評価されたと思われます。また、本研究会ではICT、DXについての先進的な取り組みが多数紹介され、当院でも学ぶべき知見が多数ありました。
集計で224名の方が参加され、現場の知見と工夫を多職種で共有することが実現し、本学会の意義に沿う学会となったといえます。なお、本学会の発表内容は後日オンデマンド配信が計画されており、各アイデアを供覧する機会が設けられている点でも、今後の地域医療への貢献が期待されます。
院長 石河 隆敏
(開会)第29回熊本県国保地域医療学会 学会長 別府 透(山鹿市病院事業管理者)
(会場)
(特別講演)
演題:「これからの超高齢社会にどう対応するか」
講師:国立保健医療科学院 名誉院長 福島 靖正 先生
(集合写真)














