山鹿市民医療センターの果たすべき役割
診療体制の基本軸
- 地域医療連携を軸とした、救急医療及び急性期医療の提供体制の充実とそれを支える総合的な診療体制の確立
- 診療機能の強化
機能の柱1:5疾病
厚生労働省は、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病として指定してきたがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4大疾病に、新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決め、既に平成23年7月6日の社会保障審議会医療部会で了承されていることと、高齢化の進展による認知症で身体合併症の患者数の受入が増加していることを踏まえて、これまでの当センターの機能の柱4疾病を見直し、精神疾患を追加します。
よって、5疾病(悪性新生物(がん)、脳血管疾患(脳卒中)、心疾患(急性心筋梗塞)、糖尿病及び精神疾患(認知症))は、鹿本医療圏においても医療ニーズが極めて高い分野であることから、センターは、地域の中核病院として現在の機能を継承し、急性期を中心とした医療を提供するとともに、医療機能の充実に向け、地域の医療機関との連携をさらに深めて参ります。また、病・病連携、病・診連携、更には在宅へという医療連携体制の構築に努めて参ります。
特に、悪性新生物については、平成24年4月に緩和ケア病棟を開棟し、がん診療の拠点病院化に向けた機能の充実を果たして参ります。
機能の柱2:5事業(へき地医療を除く)
救急医療については、これまで第二次救急医療機関として活動してきた実績を更に高めていくとともに、災害時における医療も地域災害拠点病院として有事に即応できる体制の維持に努める。小児医療や周産期医療については、平成23年4月に産婦人科を開設したことから、先ずは地域産科中核病院としての役割を果たし、小児科医の充実を図ったうえで将来的には地域周産期母子医療センターの機能・役割を果たすべく努めて参ります。
機能の柱3:政策的医療その他
感染症医療については、鹿本医療圏で市民医療センターだけが専用病床を持つものであり、引き続き実施すべき医療と考えます。予防医療についても、今後ますます重要性が高まる方向にあることから、健診、人間ドックの拡充に向けて引き続き努力して参ります。
また、地域ニーズからがん患者に対する緩和ケアを急性期医療と並行しながら実施していく必要があるものと考えています。
機能の柱4:地域医療連携
地域全体で患者をケアするような医療連携体制の構築が一層求められることから、地域医療の中核となる地域医療支援病院として、地域完結型医療の実現に向け、これまで以上に先導・主導的な役割を担うべきと考えています。
また、医療連携をより効果的・効率的に行なうため、地域連携クリティカルパスの共有体制の構築を進め診療情報を、地域医療機関と共有し医療を提供するネットワーク型医療の実現に努めて参ります。
機能の柱5:人材育成
優れた医療人の育成は、良質な医療を確保するうえで不可欠であることから、引き続き看護師・セラピスト等の院内教育・研修体制の拡充を図ります。
地域支援病院として地域医療従事者を対象とした研修を充実させ、育成に取り組んで参ります。また、学生に対する指導者研修の充実を図り、看護・セラピスト等の養成校からの臨時実習等の受入を積極的に推進します。
また、現在、熊本大学医学部附属病院の協力型臨床研修病院の一つとして初期研修医の受入を実施していますが、将来的には管理型の臨床研修指定病院を目指して参ります。先ずは研修医の生活環境面を含めたソフト・ハードの両面からの機能充実を図ることが必要と考えます。
山鹿市民医療センターは鹿本医療圏に属し、地域医療支援病院、救急告示病院、災害拠点病院、病院群輪番制病院、感染症指定医療機関等の指定など、本医療圏における地域中核病院としての役割を担っています。そのような状況下において、救急医療体制の充実及び急性期医療を中心とした診療機能の充実と、特に本医療圏における主な死因の上位である、がん、心疾患、脳血管疾の生活習慣病対策(4疾病5事業)、小児医療の確保など果たすべき役割は重要なものと位置付けてられています。
今後は、医療圏内の民間医療機関及び熊本市の高機能病院との連携強化と役割分担、開放病床や手術室・高度医療器機等の共同利用の促進及び地域連携パスの構築等により地域完結型医療の中核病院としての役割を果たして参ります。