がん総合的医療チーム

臨床検査科

検体検査

 検体検査室では、病院内で行う検査の中で、血液学:血液製剤(輸血)管理、生化学・免疫学:感染症、腫瘍マーカー、尿、便、細菌検査、病理検査などの検体検査を行っています。かつ24時間、365日、緊急検査に対応しています。
 患者さんから採取した血液は、検体検査室に運ばれます。生化学検査は、遠心分離した検体(血清・血漿)で、肝機能や腎機能、その他多くの項目を迅速測定しています。2017年度に分析装置を更新したことにより処理能力が向上しており、診療前の検査待ち時間の短縮を図っているところです。
 免疫学的検査については、HighSensitivity(高感度)”+“CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)”の装置を用いてIFN-λ3、M2BPGi、PIVKA-II、AFP、CEA、CA19-9、CA15-3、PSA、CA125、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体、インスリン、TSH、FT3、FT4、NT-proBNP、血液中のたんぱく質などを測定しています。がんは今や国民病であり、死因の第一位を長年占めています。免疫学的検査は、がん、感染症、心疾患などの診断から治療経過観察まで幅広く利用され、疾患の早期発見や治療に重要な役割を果たしています。

病理検査

 病理検査は病理組織学的診断(生検組織診断、手術標本組織診断、手術中の迅 速診断)、細胞診診断が主で、病理診断医師との連携で成り立っています。

業務内容

  • 細胞診診断
     採取した細胞にがん細胞が無いかを調べます。主な対象検体は、子宮頚部、体部の婦人科検体、乳腺、甲状腺、唾液腺、リンパ節などの穿刺吸引検体、尿、痰、体腔液などです。
  • 病理組織診断
     組織片や臓器を検索し、病変の有無や種類を診断します。内視鏡や穿刺吸引、外来で採取される小さな組織片(生検材料)から、手術室で採取される臓器(手術検体)まで様々なものが対象となります。手術材料では腫瘍の大きさ、悪性度、転移の有無などが判定され、病期を決定するうえで重要とされています。
  • コンパニオン診断
     コンパニオン診断とは、個別化医療として医薬品の効果や副作用を投与前に予測するために行われる臨床検査のことです。今後、個別化医療が進む領域として、たとえばエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体(乳癌)、Her2タンパク(胃癌、乳癌)、EGFRタンパク(大腸癌)、ALKやPDL-1(肺癌)などがあり、これらの免疫染色検査が増加すると予想されます。2018年12月より新薬に対する検査としてMSI-High検査を開始しています。
  • ゲノムワイド関連解析(GWAS)
     GWASは遺伝的多様性を代表する塩基多型(SNP)を位置マーカーとして用い、特定の病気と連動する(例えば非患者群よりも患者群で有意に高頻度に認められる)SNPを見つけ出して、その近傍に存在すると推測される感受性遺伝子をリスト化していきます。複数の感受性遺伝子を原因とする病気の場合、相当数の遺伝子の作用が累積することで、それなりの大きさの発症リスクをもたらすと考えられています。こうした遺伝因子の同定により、病気発症のメカニズムの解明や予防、リスクに応じた適切な治療方法の選択が可能となり、さらには新規の治療法開発につながることが期待されています。

生理学検査室

  1. 腹部超音波検査
     超音波を用いて、主に肝臓・胆管・膵臓・脾臓・腎臓・腹部大動脈の形態学的変化や病変の有無などのスクリーニングおよび精査を行います。検査時間は20分~40分位です。その他、医師による造影剤を使用した超音波検査、超音波下で病変部に針を穿刺し組織を採取する肝生検・腎生検や、ラジオ波焼灼(RFA)治療を行うことがあります。

    [検査方法]
     検査時には、服や肌着をまくって腹部が見えるようにし、肋間腔を開大させるため上肢を拳上し、ベッドに仰向けになっていただきます。上肢の拳上が困難な場合はできる範囲で構いません。腹部にエコーゼリーを塗り、息を吸ったり止めたりしながら検査を実施します。

    [検査を受けられる方へ]
     前日の夕食は午後8時頃までに済ませ、以後検査までは絶飲食してください。水や薬の服用は前日の夜12時頃まで可能です。当日朝に飲む血圧や心臓の薬は少量の水で服薬してください。なるべく上下別の着脱しやすい服装でお越しください。
  2. 表在(乳腺・甲状腺・頸部)超音波検査
     超音波を用いて、乳房内及び腋窩などの病変の有無、存在部位、大きさ、性状の評価並びに薬物療法の治療評価を行います。
     また、甲状腺内及び頸部・鎖骨上などの病変の有無、存在部位、大きさ及び性状の評価を行います。さらにカラードプラ法により、甲状腺の機能及び結節の血行動態の観察も行います。検査時間は20分~40分位です。その他、医師による乳腺・頸部超音波検査や病変部に針を穿刺して細胞又は組織を採取する検査を行うことがあります。

    [検査方法]
    • 乳房の場合
       上半身裸になり、ベッドに仰向けになっていただきます。検査側の上肢を拳上し、乳房にエコーゼリーを塗って検査を実施します。
    • 甲状腺・頸部の場合
       着衣の襟元を開け、ベッドに仰向けになっていただきます。バスタオルを筒状に丸めたものを頸背部に敷き、頸部を充分に伸展させた状態でエコーゼリーを塗り、検査を実施します。
    [検査を受けられる方へ]
     なるべく上下別の着脱しやすい服装でお越しください。甲状腺・頸部検査の方は襟元の詰まった上着はお避けください。

超音波検査の件数推移と症例

年度別 R2年度 R3年度 R4年度
造影(肝臓)エコー 80 51 85
年度別 R2年度 R3年度 R4年度
腹部エコー 778 852 846
年度別 R2年度 R3年度 R4年度
表在エコー 247 247 278
年度別 R2年度 R3年度 R4年度
乳腺エコー 456 481 501

★ソナゾイド造影エコー

 造影剤を投与し体内の血液の流れを明瞭に抽出することができるため、肝臓などの腫瘤のより繊細な性状を検査することができます。検査時間は1時間ほどです。※玉子アレルギーの方はこの検査はできません。
 造影剤を静脈注射して30秒から1分後の早期血管相における造影剤の染まり(濃染)と10分後(クッパ―相)の造影剤の抜けの組合せで診断します <下図>。早期相にて動脈血流が豊富な肝腫瘍がはっきりと抽出されています。

★乳腺・甲状腺エコー

  超音波を用いて、乳房内や甲状腺内の病変の有無、存在部位、大きさ、性状の評価並びに薬物療法の治療評価を行います。
 乳腺が発達している若い女性は、マンモグラフィだけでは診断が難しいこともあり、エラストグラフィ(超音波組織弾性映像法)なども併用して診断しています。エラストグラフィとは組織の硬さをリアルタイムで画像化する技術です。良性病変に比べてがん組織がより硬いことを利用してがんを検出しています。
 <下図>乳腺腫瘍。エラストグラフィでは硬さが色で表されます(硬いほど青く、柔らかいほど赤い)。歪んだ青色の円として浮き彫りに描出されています。

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