院内がん登録について
院内がん登録とは、医療機関でがんと診断または治療されたすべての患者様のがんについての情報(部位・治療方法・進行度など)を集め、その医療機関のがん診療がどのように行われているかを明らかにする調査のことです。転移がんは除きます。
この調査を複数の医療機関が同じ方法で行うことで、その情報を比べることができるようになり、医療機関ごとの特徴や実態が明らかになることで、各医療機関で受けられるがん治療の方法や実績が分かるようになり、治療を受けるにあたり医療機関を選ぶ基準となります。
各医療機関が集めた情報は都道府県を介し国立がん研究センターがん対策情報センターへ提出され、毎年国内でどれくらいの人ががんと診断され、どのような治療を行うのか、治療後の生存率はどれくらいなのかなど分析・評価し、国や地域の将来のがん医療対策に活用されます。
当院では2010年1月1日以降に診断または治療を開始した症例より院内がん登録を行っています。登録開始時は入院患者様のみ登録を行っていましたが、「がん登録等の推進に関する法律」の施行に伴い2016年症例より外来通院のみの患者様についても登録を行っております。
登録は国立がん研究センターがん対策情報センターの専門的な研修を受講し、がん登録実務者認定試験に合格した診療情報管理士が行っています。

年別登録件数
全体の登録件数は、外来患者様分を登録開始した2016年から急増し、男女比は概ね6対4の割合で男性が多くなっています。
登録件数 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 131 | 144 | 169 | 210 | 204 |
女性 | 72 | 78 | 94 | 142 | 142 |
合計 | 203 | 222 | 263 | 352 | 346 |

部位別件数
部位別に見ると、大腸・胃など消化器系の症例が多数を占めております。検診などで発見される症例が多く、内視鏡や腹腔鏡での治療も積極的に行われています。また、診療体制の強化により肝臓がんの症例が増加傾向にあります。
部位 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
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大腸 | 27 | 34 | 59 | 71 | 69 |
胃 | 34 | 31 | 34 | 40 | 36 |
肺 | 22 | 31 | 24 | 39 | 41 |
肝臓 | 5 | 11 | 15 | 38 | 35 |
前立腺 | 34 | 32 | 28 | 33 | 12 |
乳房 | 5 | 6 | 10 | 31 | 23 |
膵臓 | 12 | 8 | 16 | 24 | 24 |
その他 | 64 | 69 | 77 | 76 | 106 |
男女別平均年齢
男女別の平均年齢はやや低下傾向にあります。発見経緯の「検診・人間ドック」の増 加傾向と併せ、若年層の関心が向上してきたことが影響していると考えられます。
部位 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
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男性 | 77.2 歳 | 75.2 歳 | 75.5 歳 | 73.7 歳 | 74.4 歳 |
女性 | 79.7 歳 | 74.3 歳 | 74.9 歳 | 72.4 歳 | 73.7 歳 |
がん対策の目標は
- がんになる人を減らす
- がんから治る人を増やす
- 患者様が元気に過ごせる期間を延ばし苦痛を軽減する
ことです。
適切ながん対策を推進するためには、正確ながんの患者数や罹患率、生存率、治療効果の実態把握が必要であり、その基礎となる役割を果たすのが「がん登録」です。
適切ながん対策を計画し、その成果を評価するためには、がんの死亡率、罹患率、生存率を継続して計算する「がん登録」の仕組みが必要です。
よりよいがん医療を受けられる体制を作るために、院内がん登録を推進していることをご理解頂き、ご協力をお願い致します。