がんの画像診断:放射線科
当科は、放射線科長(外科医)をはじめ、非常勤画像診断医1名(曜日毎)、診療放射線技師6名、事務員1名(午前のみ)の計8名体制で業務を行っています。MRI、CT、血管造影装置、マンモグラフィ、一般X線撮影、X線透視装置など様々な診断機器を用いて画像を撮影すると共に、精確な診断を提供しています。各科専門医、放射線診断専門医、診療放射線技師、看護師等が協力してがんの画像診断・治療を行っています。
CT:コンピュータ断層撮影
CTとは人体に様々な角度からX線をあて、コンピュータを使って輪切り像を作り出す装置のことです。当院では、Canon社製320列エリアディテクタCTを使用しています(図1)。短時間の撮影で患者様の負担が少なく、高精細な画像が得られます。また、3次元画像解析ワークステーションを導入し、短時間での3D解析も行っております。
図1
・肝切除に対する肝臓がん術前CT
肝細胞がんのスクリーニング目的と肝切除術前でプロトコルをわけて撮影しています。術前は動脈や門脈、肝静脈の走行が大事になりますので、そのピークに合わせて4相撮像します(図2)。撮影後は血管を描出し、フュージョン画像を作成します。肝切除術前の切除体積の測定や肝切除範囲のシミュレーションに使用しています(図3、4)。肝がん治療に関しては、手術療法をご参照下さい。
図2
図3
図4
・大腸がん術前におけるCTコロノグラフィー
炭酸ガス送気装置で大腸内に肛門からガスをいれ一定圧力を維持し、その間に撮像することで、注腸造影と同じような画像が造影剤なしで撮影可能です(図5)。短時間で検査を行うことができ、患者様の負担の少ない検査といえます。同時に造影CTを行うことで、転移の有無や動脈や門脈の走行の情報も得ることができます(図6)。これらの精緻な画像診断を活用して、大腸がん手術をより安全・正確に行っています。大腸がんの治療に関しては、手術療法をご参照下さい。
図5
図6
MRI:磁気共鳴画像
MRIとは強力な磁石の機器の中に入り、体の断層像を撮像する装置です。被ばくがなく患者様にやさしい検査となっています。当院ではPHILIPS社製Ingenia 1.5TMRIを使用しており、ノイズが少なく診断能の高い画像が得られます(図7)。
がんの診断や治療効果判定におけるMRIの役割は大きく、特に肝臓(図8)や乳房(図9)、前立腺、婦人科領域のがんに関しての診断能力に優れているといわれています。
図7
図8
図9
マンモグラフィー
乳腺・乳房専用のレントゲン撮影装置です。乳房を挟みながら圧迫して、上下左右方向から撮影します。腫瘤性病変や微小石灰化等の描出が可能です(図10)。当院にはマンモグラフィ認定技師が在籍しており、乳がんの早期発見に努めています。また、女性の診療放射線技師も在籍しており、より安心できる検査環境を整えています。女性技師をご希望される方は事前にご連絡ください。
図10
血管造影装置
癌の治療としては、TACE (肝動脈化学塞栓療法)、門脈塞栓術(PVE)や部分的脾塞栓術(PSE)など行っています。ホームページのがんの血管造影下治療をご参照ください。
その他がんの診断に用いる医療機器
・X線透視装置
消化管などの管や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などで消化管や胆管、膵管などを造影剤を用いて撮影します。内視鏡によるがん治療に関しては、内視鏡的治療をご参照下さい。
・一般撮影装置
胸部や腹部など、あらゆる部位を撮影します。