がん総合的医療チーム

がんの病理診断:病理医

 病理医は病理診断を専門とする医師です。病理診断では、患者様の身体から採取された組織を対象として、顕微鏡を使った形態解析により病気の最終診断をおこないます。例えば胃カメラ検査などで潰瘍が見つかった場合、それが「良性の潰瘍」なのか「悪性のがん」なのか区別するためには病理診断が必要であり、その結果によって患者様の治療方針が変わります。また、がんと診断されて手術治療を実施した場合、手術でとられたがんの組織を病理診断することで、「がんがどこまで進行しているのか」「リンパ節などに転移があるのか」などが分かり、手術後の治療方針決定のためにも、病理診断が必要です。
 以上のことから、病理医は「がん医療」において、その根幹に関わる重要な役割を担っていると言えます(図1)。しかしながら、この病理医の慢性的な人手不足が全国的に問題となっております。特に地方の病理医不足は深刻であり、熊本県でも病理診断を担当する専門医数は県内で30名であり(2020年11月時点)、特に熊本市外では、ほとんどの病院において常勤の病理医が不在になっております。

(図1)がん医療における病理医の役割

図

 当センターでも、常勤病理医が不在の状態になっておりました。がん診療の質の向上を目指して、2018年より熊本大学と連携し、熊本大学の病理専門医による病理診断を行う体制を構築しました。定期的に当院に来院し、病理診断を担当する体制を整え、2019年より運用を開始しました。同時にキャンサーボードや臨床病理カンファレンスに参加していただいています。
 鹿本医療圏のがん医療をさらに発展していくためにも、中核病院である当センターと熊本大学が緊密に協力し、病理診断体制のさらなる向上を目指していく必要があると考えます。今後ともご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

(図2)熊本大学に所属する病理専門医

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菰原 義弘 Komohara Yoshihiro(医師、医学博士)

【現職】
熊本大学大学院生命科学研究部細胞病理学 教授
【資格】
病理専門医、病理専門医研修指導医、死体解剖資格
【所属学会】
日本病理学会、日本癌学会、日本リンパ網内系学会、
日本臨床細胞学会、マクロファージ分子細胞生物学研究会、
日本臨床分子形態学会、日本肉腫学会、日本樹状細胞研究会、
日本神経病理学会、日本がん免疫学会

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