診療科紹介―麻酔科
診療科のご紹介
加納龍彦先生が長きにわたり麻酔科常勤医として務められましたが、2022年度末に勇退され非常勤医になられました。それに伴い、本年4月からは熊本大学麻酔科と久留米大学麻酔科の応援を仰いでおりました。この度、熊本大学麻酔科の平田直之教授のご高配により、11月から熊本大学麻酔科から相方(さがた)靖史医師が常勤医として勤務します。加納先生と久留米大学麻酔科からの応援も継続します。今後の状況を見ながら疼痛ケアの領域も含めて麻酔科の体制を整えていければと考えています。
「安心」「安全」「快適」な手術をご提供できるように
麻酔は手術の間「意識をとり」、「痛みを感じなくする」医療と思われているのではないでしょうか。麻酔とは手術を受けられる患者さまの生体の活動を手術による侵襲(身体への負担)を受けても問題がない程度に抑制する一方で、抑制してはいけない機能をコントロールし生体の機能を維持する医療です。簡単に言えば心臓を動かし続け、呼吸を維持し、血流を途絶えないようにし大切な臓器の機能を維持する医療です。そのために手術の前には患者さまのご病気や体質をお伺いし、手術前に受けていただいた検査を評価し、問題を把握しておく必要があります。また、問題がある場合には対応策を検討し、準備します。また術後に関しては痛みのコントロールも可能な限り行います。できるだけ痛くない手術を心がけます。
主な麻酔方法は以下の通りです。
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全身麻酔
脳や脊髄レベルで神経活動を抑制し意識や痛みをとる麻酔方法です。ほとんどの場合点滴からお薬を投与し眠っていただきます。全身麻酔薬は体重や年齢等に応じた量を常に投与し続けます。一般的には呼吸も止まってしまうので人工呼吸を行っていますが記憶として残ることはありません。最近はお薬がよくなったので「ぐっすり眠った」とお話される患者様もいらっしゃいます。手術終了すればお薬を中止し覚醒後に人工呼吸器を外し状態が安定していることを確認したうえでお部屋に戻ります。 -
脊髄くも膜下麻酔
いわゆる「半身麻酔」です。腰部の脊髄レベルで神経活動を抑制し、腰から下の運動・知覚を一時的に麻痺させます。手術中は起きていることも、鎮静して眠ることも可能です。一般的によく用いられる麻酔方法ですが「血液サラサラの薬」を飲んでいたり、出血が止まらないような疾患をお持ちの場合はできません。 -
硬膜外麻酔
脊髄くも膜下麻酔とよく似ていますが、脊髄から出た枝の部分で神経活動を抑制する麻酔方法です。単独で用いることは少なく、主に手術の後の痛みを和らげるために用います。全身麻酔と併用する時は脊髄を傷つけていないか確認するために意識のある時に背中から注射をします。脊髄のそばに細い管を留置しておき、術後はそこから痛み止めを注入し続けることで傷の痛みを感じにくくします。脊髄くも膜下麻酔同様、「血液サラサラの薬」を飲んでいたり、出血が止まらないような疾患をお持ちの場合はできません。 -
末梢神経ブロック
近年よく用いるようになった麻酔方法です。単独で用いることもありますが、麻酔科医が行うときは全身麻酔などと併用し、術後の痛みを和らげるために用います。全身麻酔で眠ってしまった後に超音波画像(エコー)を確認しながら局所麻酔薬を注入し、手術部位を担当している神経を一時的に麻痺させます。
それぞれに一長一短あり手術の内容や患者さまの状態に合わせた麻酔方法を選択します。あるいはご希望をお伺いすることもあります。
医師紹介
- 診療部麻酔科長・手術 中央材料部 手術 中央材料室長
- 相方 靖史(さがた やすふみ)
- 専門分野
- 麻酔全般
- 指導医・専門医・認定医
- 厚生労働省認定麻酔科標榜医
日本麻酔科学会認定指導医
日本専門医機構認定麻酔科専門医
日本DMAT隊員